最果てのイマ
http://www.xuse.co.jp/product/imafv/index.html
祝。フルボイス版発売決定。追加テキスト誰が書くのーとか色々不安はあるが、まずはめでたい。
「最果てのイマ」はザウスより発売の18禁エロゲ。シナリオは田中ロミオ。
学生達のゆるやかな日常会話劇と、新本格ばりの叙述テクと、イーガンばりのSFネタを、全部ぶっこんだオーバースペックなエロゲ。
買うべし。
以下はネタバレ感想。
プレイし終わってることが前提であり紹介ではないので、プレイしてない人が読むと「え、なんか、このゲーム、つまらなそう」と思うかもしれませんが、それは本意ではありません。
イマ雑感
エロゲが好きだ。童貞くさいエロゲが好きだ。言い訳の山のようなエロゲが好きだ。
好きになるとかヤルとかに、膨大な小理屈をつけて、数Mバイトに渡ってうだうだ悩んだ挙げ句、やることは全部やって、それでも、どこか、うしろめたいようなエロゲが好きだ。
結局のところ、「最果てのイマ」というのは、そういうゲームだったんじゃないかと思う。
世の中で、深く考えてはいけないエロゲのタブーというのは、以下の二つに絞れると思う。
1.おまえ、なんで、そんなにモテるの?
2.純愛とか運命とか言ってる割に、ルート終わったら別のヒロイン喰うのって矛盾してねぇ?
まぁ「それを言ったらおしまいよ」という話なのだが、「イマ」は、考えすぎた挙げ句に、そこに至ってしまっている。
トリッキーな構成や、戦争編に至る膨大な設定は、実のところ、この2点に対する言い訳が超巨大化したものだ。
1.おまえ、なんで、そんなにモテるの?→主人公は世界を救うために誰からもモテないといけない超能力者だった。
2.ルート終わったら別のヒロイン喰うの?→違うルートと見せかけて、全部同じルートだった。
あぁいや、こうして言葉にすると馬鹿馬鹿しいが、それが馬鹿馬鹿しいだけで終わってないのはプレイしたあなたが知る通り。
「いやいやそこまで深く考えなくても」という問題意識の上に、巨大な塔を建てるが如き馬鹿馬鹿しさが心から好きだ。
倫理を壮大に語る話に見せかけて、たかがハーレムエンドの正当化で終わっちゃうのかよ、というのは、むしろ肩透かし感さえあった
http://d.hatena.ne.jp/NaokiTakahashi/20070913#p2
おお、id:NaokiTakahashiさんが、簡潔にまとめている。
全くその通りの上で「たかがハーレムエンドの正当化」のために、そこから逆算して、膨大な設定とパズルな構成を作り上げるという、才能の無駄遣いがたまらない。これだけ巨大な言い訳を用意して、なお、悩みを捨てきれず、おどおどと進む情けなさが大好きなんだ*1。
「倫理を壮大に語る話」のほうだが、「イマ」の、基本的なテーマは「恋愛というものに支配/従属/打算は、つきまとうのだから、となると、独立した個人同士の純粋な恋愛というのは人権の侵害じゃね? 誰かを傷つけずに恋愛するのって不可能じゃね?」というものだ。
これに関する答えは昔から決まっていて「おまえ余計なこと考えすぎ。四の五の言わないでぶつかってみれ」だ。
「イマ」の結論も、そういうことだ。忍の「倫理を踏み越えた」決断というのは、「人類70億を犠牲にして群体と接触したこと」即ち「傷つける覚悟で誰かを愛する」ことだ。
その一瞬に至るために、あれだけの会話と描写と設定と構成を積み上げる「イマ」がたまらなく愛おしいのだ。
*1:これは反論ではなくて便乗した語りです。失礼。